ある年の2月③
吾輩の寝床は「ニンゲン」に作らせた。
ちょうどいい大きさの寝床だ。寝れば周りは壁に遮られて何も見えない。「ニンゲン」は気に食わないが、この寝床は気に入っている。
ただな。飯を食うところに近くに砂場がある。それが気に食わん。飯を食っていても臭いが気になって仕方が無い。であるから、いつも文句を言いに行く。
すると「ニンゲン」どもは
偉いね。教えてくれたんだね。
そう言いながら片づけやがる。てめぇらに教えたんじゃない。文句を言っておるのだ。吾輩は「ニンゲン」どもが何を話しているか簡単にわかる。しかし、。「ニンゲン」どもは吾輩が何を話しているか全くわかっていないのだ。これで生物の頂点に立っているなど思い上がりも甚だしい。
「ニンゲン」どもよ、お前らはおろかな生き物であることに変わりはない。
その証拠に吾輩たちは争う必要があるときには争うだけだ。「ニンゲン」どもはどうだ?争う必要のないことで争い、争わなければならないところで争っていないではないか。
まあ、良い。吾輩は寒さしのげて食うに困らなければそれで良い。生きていればそれで良い。