ある年から2回目の2月 ―人間からー Vol④

 盛大なものではなかったが、15年近くも家の周りをうろついていたネコを見送った。

 

 家に入れたときから、年老いたネコであったので先は長くないだろうと思っていたが、あまりにも急だった。

 

 ネコは弱った姿を見せないのだという。人間の近くにいても野生の習性を持ち続けている。弱さを見せることは死につながる。ましてや大半を野良ネコと死して過ごしていたのだから、野生の習性を持っていて当然だ。

 

 主を失ったキャットタワーが残されている。どうしようか。もう登るネコはいない。

 

 

 

 だが、残すことにした。姿かたちは見えなくなっても、魂は残り続けるのではないだろうか。そう思えてならなかった。見えることはないが、ムスッとした顔で寝そべっているあいつの姿が浮かんでくるようだった。

 

 しばらくキャットタワーを眺めて、窓の外に若いネコがいた。近づいても窓を開けても逃げずにじっとこちらを眺めていた。