ある年から2回目の2月 ―人間からー Vol②

 死んでしまった「ネコ」をそのままにはしておけない。とりあえず、ペット葬儀社に電話を掛けた。すぐにではなかったが、その日のうちに来てくれた。家族全員が時間を作れることのできる珍しい日であった。

 

 葬式に当たって色々と聞き取りがあった。野良猫であり、冬の寒さをしのがせようと家の中に入れたこと。思いのほか気に入ったのか、暖かくなっても家に居ついたこと。気が付いたら15年ほど生きていたことも話した。

 

 葬儀社の担当者が言うには、大半を野良として過ごした猫の葬儀は珍しいのだという。まあ、そうだろう。野良猫の葬式を上げるとは酔狂なものだと我ながら思う。

 「野良猫として大半を生きて15年も生きる猫を見たことがありません。なかなかないケースだと思います。」葬式の準備をしながら葬儀社の担当者が話した。試しにネットで調べてみると、野良猫の寿命は8年程度であった。

 「こちらの居心地が良かったのではないでしょうか」重ねて担当者が話していたが、思い返してみてもとてもそう思えなかった。

 

 

 もう一度考えてみた。不愛想な猫であったが、この家の周りで過ごすことや、家族が話しかけてくるのを楽しみにしていたのだろうか。あの顔で心躍らせていたのかもしれないと思うと、笑いが込み上げてきた。