2022-06-01から1ヶ月間の記事一覧

ある年の2月②

「ニンゲン」どものねぐらで過ごすのも悪くは無いと感じてきた。 相変わらず「ニンゲン」どもは気に食わないがな。 何より暖かい。いつも寒くて震えながら寝ていたものだ。寒くて何度も目が覚める。気に食わないやつが攻め込んできたら戦わないといけない。…

ある年の2月①

外の雪は少しも減らない。吾輩がこのねぐらに転がり込んでからも雪が増えているようだ。 もし、今までのように外にいたと思うとぞっとする。 「ニンゲン」の庇護を受けるまで落ちぶれたかと屈辱的な気分であったが、生きているだけで良しとしよう。気安く触…

ある年の1月の裏側

物語では、武骨な猫に描かれていますが、本当のモデル猫は気の優しくて小さな猫でした。周りの子猫に優しく食べ物を分けてあげたり、危ないことが無いか見張っていたり、爪とぎや木登りを教えてあげたり・・・ 本当に心優しい猫です。 我が家に保護した時の…

モデルがいます

このブログに登場する猫「吾輩」にはモデルがいます。 昨年の冬。とてつもない雪に覆われた日の事です。 我が家に新たに家族を迎えました。 十年以上我が家の周りをうろついていた野良猫です。 愛くるしいわけではなく、不愛想で可愛げのない猫なのですが、…

ある年の1月③

少しずつ、吾輩自身のふがいなさを感じてきた。 「ニンゲン」どものねぐらで過ごすことにした。もちろん、吾輩の希望ではない。「ニンゲン」どもがここにいろと言うからだ。だが、外に出ようとする気持にもならない。 この「ユキ」だ。あまりの量に恐怖を覚…

ある年の1月②

外に出た瞬間、吾輩は立ち尽くしてしまった。 ねぐらの前は「ユキ」が溜まらないようになっているが、その先は前が見えないほどの「ユキ」だった。ただ「ニンゲン」たちの声は聞こえる。その声の方に向かえば良いのは解るのだが、足がはまってしまえば最後だ…

ある年の1月①

吾輩はネコであるらしい。 「ニンゲン」どもが吾輩を見ると必ず「あっ。ネコだ」と声を出す。だから吾輩はネコなのだろう。 だが、ナマエはまだない。「ニンゲン」と暮らしているネコはナマエというものがある。「レオ」だとか「ソラ」というナマエが付いた…