モデルがいます

 このブログに登場する猫「吾輩」にはモデルがいます。

 

 

 昨年の冬。とてつもない雪に覆われた日の事です。

 

 我が家に新たに家族を迎えました。

 

 

 

 十年以上我が家の周りをうろついていた野良猫です。

 

 

 愛くるしいわけではなく、不愛想で可愛げのない猫なのですが、なぜか我が家の家族の心をつかんで離さない不思議な猫です。

 

 

 あの大雪の日、いつもは朝に来ている猫がいません。もしかすると雪にうずもれてしまったのではないかと気が気ではありませんでしたが、夕暮れ近くになってようやく家に来てくれました。多分必死で雪をかき分けたのでしょう。疲れ果ておびえた表情でたたずんていました。

 

 

 そのあたりにあったタオルにくるんでキャットフードを与えました。何も食べていなかったのか、普段の時と違ってがっつくように食べていました。

 

 いつもは、空腹を満たせばねぐらへと帰っていきます。

 しかし、この雪です。外にいては凍えるか雪に埋もれるか。冬は越えられないのは明らかでした。

 

 

 抱え上げて家の中にあった空の段ボールに入れると、大人しく箱の中で寝転がりました。これまで、何度も保護しようと家の中に入れては騒いで脱走を繰り返していた猫がほっとした表情で休んでいました。よほど、その時の大雪が怖かったのでしょう。

 

 災害級の大雪によって、かたくなに家に入るのを拒んでいた野良猫が家猫へと転身しました。

 

 

 これまでの事を思い返しながら、物語を紡いていきたいと思います。