ある年の1月③

少しずつ、吾輩自身のふがいなさを感じてきた。

 

 

 

 

 「ニンゲン」どものねぐらで過ごすことにした。もちろん、吾輩の希望ではない。「ニンゲン」どもがここにいろと言うからだ。だが、外に出ようとする気持にもならない。

 

 

 

 

 

 この「ユキ」だ。あまりの量に恐怖を覚えた。これまで生きてきて吾輩は怖いものが無かった。にもかかわらずだ。「ニンゲン」どもが見ている四角いものの中にいる「ニンゲン」は「トンデモナイオオユキダ」と言っている。

 

 

 

 

 

 

 ねぐらの外の「ユキ」はどんどん増えている。若いころだったらどうだっただろうか。そんなもの知るかと今まで通り外にいただろう。ここ最近体力も落ちている。それはわかる。吾輩は馬鹿ではない。

 

 

 

 「ニンゲン」の庇護を受けている奴らを心の底から軽蔑していたのだが、まさか吾輩が「ニンゲン」どもの庇護を受けることになろうとはな。

 

 

 

 吾輩は世話になりたくて、このねぐらにいるわけではない。「ニンゲン」どもかここにいろと言うからいてやってるだけだ。

 

 

 

 それに今は外に出ても食い物などあるわけない。ここには食い物もあるし、なぜかよく解からないが暖かい。この「ユキ」が無くなるまで、ここにいるとしよう。