ある年の3月①
少し暖かくなってきた。とんでもない量の「ユキ」が少なくなっている。
もうすぐ「ハル」が来るらしい。「ニンゲン」どもがそう言っている。
そんなことよりも「ヒナニンギョウ」というものが気になる。この時期になると「ニンゲン」どもが組み立てている。あの上に行けば眺めが良さそうだ。
吾輩はなぜか高いところが好きだ。理由は解らない。ただ、とにかく気分がよくなる。
「ニンゲン」がいなくなった隙を見て、登ってみた。
やはり気分が良い。思い出した。「イヌ」や「ニンゲン」が追いかけてきたとき、とにかく高いところに逃げていたな。それを思うと、今は気楽なものだ。
「コラー」
どうやら「ニンゲン」が怒っているようだ。うるさい奴だ。引き上げるとするか。