ある年の6月②

 「アメ」が降っている。

 

 

 吾が輩はこの「アメ」が苦手である。あのまとわりつく感触が気に食わないのだ。

 

 このねぐらで暮らす前は食い物を探さなくてはならないから、「アメ」であっても出歩いてたのだ。

 

 今では「アメ」があったとしても気にはならない。このねぐらにいれば食い物にありつける。

 

 ただし、「ニンゲン」どもの遊び相手を務めねばならん。「ニンゲン」どもは吾が輩と遊んでやっていると思っているのだろうが、勘違いするなよ。

 

 遊んでやっているのは我が輩の方なのだからな。何もしなくても良いからねと言ってくるが、お前ら「ニンゲン」どもの相手をするのがどれほど大変かわかっているのか。

 

 その証拠に、見ろ。我が輩はいつも寝ておるぞ。あれは、疲れ果ててしまったからである。

 

 

 ただ、外にいたときには眠るに眠れなかったからな。その辺は良しとしよう。