ある年の8月①

 暑くなってきた。この暑いのが吾輩は大嫌いである。

 

 だが、吾輩はとてつもない発見をしたのだ。「ニンゲン」どもの後を付いていくと、涼しいのだ。

 

 よくわからんが、上から風が吹いている。その風が何とも言えぬ快感なのだ。

 

 

 「えあこん」やら「センプウキ」というらしい。どうりでいつも、この暑いのに「ニンゲン」どもは動き回れるのか。これまでの我が輩は暑い所を避けて陰で静かに過ごしていた。

 

 「ニンゲン」とは色々考えるものよ。こんな快適なものがあったとはな。もっと早くこのねぐらに入り込むべきであった。

 

 とはいえ、眠いものは眠い。ひと眠りだ。

 

 

 暑かろうが涼しかろうが、吾輩は変わらない。