ある年の10月④
「カァチャン」が「キンジョノヒト」に吾輩の面倒を見ていると言っていた。
何か勘違いしていないか。このねぐらの「ニンゲン」どもの面倒を見ているのは吾輩だぞ。
考えてみろ。以前、吾輩がこのねぐらで隠れたときに、「トオチャン」や「カァチャン」、「ニイチャン」が大騒ぎになっていたではないか。逆に「ニンゲン」どもが一人もいなくとも吾輩は困りはしない。
そうだな。このねぐらの「ニンゲン」どもは吾輩の世話をしている係だ。いうなれば召使だな。吾輩は王様で、「ニンゲン」どもは家来なのだ。
「ニンゲン」どもが吾輩の世話をするのは当たり前。吾輩が「ニンゲン」どもに世話をしてもらうのも当たり前だ。
このねぐらの「ニンゲン」どもよ。吾輩がここにいることのありがたみを実感しながら毎日を生きよ。