ある年から2回目の2月⑥

 今日はとても暖かい。良い天気だ。「ハル」が来たようだな。吾輩は「きゃつとたわぁ」の上でひとしきり眠った。最高の寝心地だ。ずっとこんな日が続けば良い。

 

 

 

 ぅう。何が起こったか解らん。さっきまで「きゃつとたわぁ」の上にいたはずなのに、今は下で横になっている。

 

 よく解らないが、気を失って落ちたようだ。情けないものだ。そして息も苦しい。

 

 「カァチャン」と「ニイチャン」が吾輩の所に来た。身体を撫でてくれたがゴロゴロはできない。昨日まで元気に過ごしていたのだがな。

 

 

 吾輩はもう、終わりなのかもしれん。それは、何となく感じていた。ここ最近の調子の悪さもそのせいだと思っていた。だが、死ぬことは何とも思わん。生まれるものは死ぬ運命にあるものだ。必ずな。

 

 「カァチャン」、「ニイチャン」よ。悲しむな。吾輩は感謝しておる。あの「ユキ」では生き延びることができなかった。二度も「ハル」を迎えることができた。二度も「フユ」を越えることができた。

 

 

 息も荒くなって、身体も動かなくなったが。穏やかな気分だ。

 

 

 

 

 

 吾輩は「ニンゲン」どもが嫌いだ。今もだ。だが、「ニンゲン」どもにも色々いる。このねぐらの「ニンゲン」どもは別だ。寂しく野垂れ死にするより他は無いと思っていたが、こうして見守られながら逝くのか。悪くない。

 

 

 

 

 

 「ありがとう」だの「生まれ変わってもこの家に来い」だの、色々言ってきた。

 

 吾輩も感謝しておる。ありがとよ。

 

 あぁ。生まれ変わって、このねぐらに来てやる。そのかわり、最高の「きやつとふぅど」を用意しろ。「ヒトオダメニスルそふあ」は吾輩の物だぞ。

 

 

 色々あったな。そして世話になった。そろそろのようだな。

 

 

 ありがとよ。

 

 

 

 ありがとよ。

 

 

 

 ありがとよ。

 

 

 

 

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