ある年の10月①
不思議なものだ。
あれほど暑かったのに、涼しくなっている。そして、寒くなり、また暑くなる。
一体だれが決めているんだろうか。吾輩にも決めさせてほしいのだが。
この年になると、何もないことに有難みを感じる。いわゆる「ダンシャリ」とでもいうものだ。「ニンゲン」どもも世界ではな。
「ニンゲン」どものねぐらに暮らしてわかったのだが、「ニンゲン」どもは物を持ちすぎる。吾輩がいたねぐらには何もない。だが、なにも不自由しなかった。
「いんすた」とやらに振り回されて、「りあジュー」やら「ミナトク」やら下らんものに「ニンゲン」どもは夢中になっておる。
生きておるだけで十分なのだ。周りにどう思われようが生きれおれば良い。死んでしまうよりはな。
色々考えると眠くなる。さてひと眠りするか。