ある年の12月②

 このねぐらからは「ヤマ」がよく見える。

 

 

 何か上の方にかかっている。「カァチャン」が言うには、あれが「ユキ」なんだそうだ。

 少しずつ、「ユキ」が下の方に進み、吾輩がいるこのねぐらまでやってくる。

 

 去年を思い出す。

 

 とてつもない「ユキ」があったことを。まさに死にかけるほどであった。必死でこのねぐらまでたどりつけたから、今がある。

 

 そうだ。いつも寒くなるとうんざりするものだった。ただ、寒いだけではない。食い物も極端に少なくなる。弱って死んでしまうものもいる。だが、今年はそうでもない。このねぐらは案外快適だ。寝るにも食うにも困らない。